野菜ジュース・青汁の正しい選び方を考えてみる

今まで、野菜の栄養価をいろいろと比較し、関連情報も集めてきたが、最終的な結論として
どういう観点で野菜ジュースや青汁を選べばよいのかを考えてみたい。

今回そもそもこうして自分で調べようと思った理由は、特定の商品の販売者ではない
立場で、客観的な観点で何がベターなのかを知りたいと思ったからである。


▼栄養を取りたいのか、美味しく飲みたいのか
一般的に野菜汁のみで作られたものよりも果物が入っているもののほうが甘くておいしい。
野菜汁のみのものの中でもケール等の青菜野菜のみで作られたいわゆる「青汁」よりも、
トマトやにんじんなどの甘みのある野菜を使った野菜ジュースのほうがおいしい。

ただし、消費生活センターの市販の野菜ジュースのテスト結果の記事でもあったとおり、
市販の野菜ジュースの中でも、果物入りのものよりも野菜汁100%のもののほうが
栄養価は高いし、果菜の栄養比較の記事根菜の栄養比較の記事でも書いたとおり、
野菜の中でも青菜野菜の栄養価が圧倒的に高い傾向にある。

味  :果物入り野菜ジュース>野菜100%ジュース>青汁(青菜野菜汁)
栄養:青汁(青菜野菜汁)>野菜100%ジュース>果物入り野菜ジュース

ということだ。基本的に「混ぜ物が少ない」物のほうが栄養価が高いということでもある。
ハチミツ入りとかコラーゲン入りとか、それらは「味は良くなるが栄養は減る」ということに
なる。何がいいかは個人の判断だが、少なくとも上記傾向は認識した上で、野菜ジュースを
選んだほうがよいと思う。


▼栄養の高さは生野菜>自家製ジュース>市販ジュースの順
野菜ジュースにすることで失われる栄養素の記事青汁本のまとめの記事で記載した
通り、生野菜からジュースにすることで食物繊維等が失われ(ミキサーで絞るタイプの
場合。粉末にするタイプの場合は食物繊維は残る)、市場に流通させるために
必要な加熱処理等を行うことでビタミンC等が失われる。また野菜の新鮮さが失われる
ことで壊れてしまう栄養素もいろいろある。なので、栄養を取るのにベストは、栄養価の
高い青菜野菜などの生野菜をそのまま食べること、次にそれらをジュースにして新鮮な
状態で飲むこと、市販のジュースに関してはその次になる。


▼野菜ジュース・青汁を選ぶポイントは栄養価とコストパフォーマンス
栄養価の高い野菜のランキングの記事で栄養価の高い野菜をまとめたが、この中で
ほうれん草、よもぎなど、大量摂取に向かないものを除いたもので野菜ジュース・青汁を
作ったり買ったりすればよいわけだが、青汁本のまとめの記事にも記載したとおり、
青汁は大量の野菜を使用するため、1年中大量栽培ができ、ジュース作成に手間が
かからない(毒の部分を取り除く等の工数が不要)ことが重要。大量栽培と手間の要素は
購入する際のコストに関わってくる部分だ。

上記本の著者の父の遠藤氏は、ケールを栽培している農家の人とかではなくて、
野草の青汁を息子に飲ませた経験から始まり、いろいろな青菜の栽培を試した上で、
最終的にケールにたどり着いている。栄養価とコストパフォーマンスのバランスが
よいのかも知れない。


上記の観点を踏まえて、青汁をまとめてみる。まとめてみたら飲みやすさ重視の青汁が
圧倒的に多いようだ。

▼美味しく飲みたい人向け

美しくなる人のためのライフアップ「菜善青汁」
大麦若葉がベース。他に八女抹茶、麦芽糖、アロエエキスを使用。飲みやすさを訴求。

23種類以上の栄養素をギュッと凝縮《VitaPro 青汁》
大麦若葉がベース。他にカワラケツメイ、クロレラを使用。飲みやすさを訴求。

話題の明日葉を根っこごと青汁に!
明日葉がベース。他に大麦若葉、桑の葉を使用。実は明日葉自体はケールよりも
栄養価が高い。ケールと明日葉の栄養比較記事参照。混ぜ物があるのでこちらに分類。

★メディア大注目★日本初の植物性乳酸菌配合の青汁
大麦若葉がベース。他にケール、抹茶、オリゴ糖、植物性乳酸菌を使用。
特に植物性乳酸菌を配合してお通じをよくすることを売りにしている。

他の青汁より栄養豊富「インペックスアイポイントの青汁」
大麦若葉がベース。他にほうれん草、パセリ、果糖、粉末状大豆たん白、水溶性食物繊維、
とうもろこし抽出物(セラミド含有)、ヒアルロン酸、レシチン(大豆由来)を使用。
この青汁の売りは、一袋7gと一般的な1袋3gの青汁の2倍の量を使って栄養豊富に
しているところ。

無農薬栽培の大麦若葉まるごと青汁【布亀99box.com】
大麦若葉がベース。他に麦芽糖、抹茶、はちみつ、セルロース、桑の葉、炭酸カルシウム、
マグネシウム、甜茶、杜仲茶を使用。サイトに他の野菜と大麦若葉「粉末」の比較があるが、
生野菜と「粉末」の比較はフェアじゃないと思う。大麦若葉は五訂日本食品標準成分表に
データがないので、大麦若葉「粉末」のデータを加工してケールと比較した記事を参照。

女性の悩みに ハーブ系青汁のめぐりごごち「楽・月・花」
ベースは不明。以下の8つの素材を混ぜているとのこと。
しょうが、ヒハツ(ナガゴショウ)、黒糖、きくらげ、明日葉、西洋ヤナギ、西洋オトギリソウ、
西洋ニンジンボク。青汁というより漢方茶に近いのかも。体を温める成分が豊富。


▼栄養を取りたい人向け

粒タイプだから栄養価が高くても飲みやすい「ステラの贅沢青汁」
ケールがベース。他にクロレラと長命草を使用。高い栄養価を保ったまま飲みやすく
するために青汁を粉状ではなく粒状にし、手軽に飲めるようにしている。私の知る限りの
粒状の欠点は固める成分が別途必要になるので、同じ量の栄養を摂取するために
粉末タイプのものより多く飲む必要があること。

ファンケルの【青汁】シリーズ!国内産ケール100%が野菜不足の解消に♪
ケール100%。粉末タイプ。1本4.2gでカロリーから推測するに、2本でケール生野菜100g相当。

主に青菜野菜の価格を比較してみる

今まで、野菜の栄養価を比較してきて、栄養価という観点で言うと青菜野菜が
特に豊富で、その中でもモロヘイヤがずば抜けているという結論になった。

ただ、野菜の値段に関しては全く考慮しておらず、コストパフォーマンス的には
どうなのかということに関して、結論が出ていなかったので、今回は野菜の価格、
特に青菜野菜を中心に価格の比較をして、栄養を摂取するのにコストパフォーマンスが
高いものは何なのかを考えてみたい。

極力同一基準で比較をしたいのだが、野菜の価格に関しては、季節によっても差があるし、
特売品かどうかなどでも差が出るので難しいところではある。
基本的にはエブリデーロープライスで有名なスーパーマーケット「オーケー」の2月の
商品データを使うことにする。一応「オーケー」に関して説明をすると、このスーパーは
基本的に「ほぼすべての商品が定常的に最安値」という特徴があるので、ここの価格が
この時期のその野菜の最安値レベルと見て良いだろう。

冬の2月の価格なので、小松菜や白菜は安く、その他は高めになっているというところは
念頭に置いてデータを見ると良い。他、ケールに関してだけは日本のスーパーで日常的に
売られている野菜ではないため、ネットで探して安そうだった下記楽天の店舗のデータを
使うことにする。
http://item.rakuten.co.jp/marucyan/ke-ru250g/

まずは結論から。

▼主に青菜野菜の価格比較(ケール以外はオーケーの2月のデータ、ケールは楽天店舗)

100gの価格カカク 本体価格ホンタイカカク(税抜ゼイヌ) 本体ホンタイ重量ジュウリョウ(g)
モロヘイヤ 238.0 238 100
ほうれんソウ 87.5 175 200
小松菜コマツナ 77.5 155 200
チンゲンサイ 67.5 135 200
パセリ 256.0 128 50
ブロッコリー 33.2 158 476
あしたば 158.0 158 100
春菊シュンギク 83.3 125 150
にら 94.0 94 100
キャベツ 22.2 198 890
レタス 63.3 198 313
白菜ハクサイ 17.2 198 1150
大根ダイコン 19.9 178 895
みつば 98.0 98 100
ケール 80.0 800 1000

ざっくりまとめると、
a.100g20円~30円前後の野菜:ブロッコリー、キャベツ、白菜、大根
b.100g70円~100円前後の野菜:
ほうれん草、小松菜、チンゲン菜、春菊、にら、レタス、みつば、ケール
c.100g160円前後の野菜:あしたば
d.100g250円前後の野菜:モロヘイヤ、パセリ

の4種類のグループに分けられる。他の記事で栄養比較の基準にしてきたケールを
ベースにすると、
aグループはケールの4分の1の価格
bグループはケールと同等の価格
cグループはケールの2倍の価格
dグループはケールの4倍の価格
ということになる。

これを元に改めてケール、あしたば、モロヘイヤの栄養比較記事をみてみると、
ビタミンAやビタミンB系に関しては概ねあしたばはケールの2倍、モロヘイヤはケールの3倍
含んでいる感じなので、値段がそれぞれケールの2倍や3倍になっても、あしたば青汁や
モロヘイヤ青汁というのはありなのかもと思う。商売的に成り立つかどうかは別として。
パセリは栄養価は高いがモロヘイヤよりも100gあたりの単価が高いので、
野菜ジュースにするにはコスパが悪い野菜だと思う。


▼元データ



野菜ジュースにすることで失われる栄養素とは

厚生労働省の推進している「21世紀における国民健康運動(健康日本21)」という
健康に関する目標数値を示したものによると、1日に摂取すべき野菜の目標は
350g~400gとなっている。これが野菜ジュースや各所で謳われる「1日分の野菜」の根拠。

この1日分の野菜を取るのに手軽な手段はジュースにして飲むことであるが、
生野菜ではなく、ジュースにすることで失われてしまう栄養素がないのかを考えてみたい。

市販の野菜ジュースに関する公のテスト結果としては、
名古屋市消費生活センターのもの国民生活センターのものが有名なようだ。

ざっくりまとめると
・果物入のものより野菜汁100%のもののほうが栄養価が高い
・野菜を350g使っていても味を整えるために使う野菜が偏るため栄養バランスはまちまち
・ビタミンCは熱に弱いので市販のものは加熱殺菌処理によりほとんど失われてしまう
・食物繊維はジュースにする際に多くが失われ、生野菜からの摂取よりもはるかに少ない
・カルシウムは上記、使う野菜の偏りが原因で十分摂取できないものが多い
・鉄分は上記、使う野菜の偏りが原因で十分摂取できないものが多い

ということで、市場に流通させる際に加熱処理等必要な処理をしたり、ジュースにすることで
ビタミンCや食物繊維が失われたり、味を整えるために使う野菜が偏ることで、
カルシウムや鉄分などが少なくなってしまうことが野菜ジュースによって失われてしまう点。



栄養価の高い野菜ランキング

青菜野菜、根菜、果菜など、いろいろな野菜の栄養価の比較をしてきて、総合的に
どの野菜の栄養価が高いのかをランキングしてみたいと思ったので、ランク付けしてみた。

特定の栄養素が高いものというやり方であればランク付けもしやすいのだが、総合的に
という観点だと、各野菜とも多い栄養素、少ない栄養素があるのでどうしても主観的に
ならざるをえない。ただ、最後に載せる元データを見ればある程度納得感があるような
順位付けにはしていると思う。

栄養価のデータに関しては、基本的に「五訂日本食品標準成分表」から取っているので、
同一基準での比較になるが、青汁でよく使われる大麦若葉だけはこの中に含まれないため、
ケールと大麦若葉の栄養価比較記事で行った方法と同様、ケールと同等の水分90gに
大麦若葉「粉末」10gを足したものを大麦若葉100gの栄養価と仮定して計算をする。


▼栄養価の高い野菜ランキング
1.モロヘイヤ
2.しそ
3.パセリ
4.よもぎ
5.大根の葉
6.ほうれん草
7.ブロッコリー
8.ケール
9.春菊
10.小松菜
11.かぼちゃ
12.大麦若葉

ランキングに入れた野菜のほとんどが青菜野菜になっているが、実際にいろいろな野菜を
比較してみると、根菜や果菜と比較して圧倒的に青菜野菜の栄養価が高いことがわかった。

青菜野菜同等レベルの栄養価を持っている野菜はかぼちゃくらいなもので、例えば人参は
カロテンでは9100μgあるのでモロヘイヤ、しそ以外の上記野菜よりも多いが、他の栄養素は
遠く及ばないレベル。大根も人参も普段我々が食べている根の部分よりも、葉の部分の
栄養のほうが圧倒的に多い。全体的な傾向としては、緑の多い葉野菜の栄養が高いと言える。
野菜ジュースの中でも特に「青汁」というカテゴリーがあるのにも納得がいく。

で、今回その栄養価が高い野菜の中でランク付けをしてみたが、誰が見ても納得が
いくのが、モロヘイヤ、しそ、パセリ、よもぎの4つの野菜の際立った栄養価の高さだろう。
特にモロヘイヤは「やさいの王様」の異名を持つだけあって、ほぼすべての野菜と比較しても
ほどんどの栄養素が多いという特徴を持っている。

それでは各野菜の個別の特徴を見ていこうと思う。


▼各野菜の特徴
・モロヘイヤ
「野菜の王様」の異名を持つ、ほとんどの栄養素が他の野菜よりも圧倒的に多いという野菜。
栄養価の高いほうれん草と比較してもほとんどの栄養素が2倍以上含まれている。
ビタミン、ミネラルともに豊富。

・しそ
ずば抜けて栄養価の高い野菜。特にカロテン、パントテン酸、亜鉛、マンガンはトップクラスの
含有を誇る。

・パセリ
ずば抜けて栄養価の高い野菜。特にビタミンB6、葉酸、カリウム、鉄分はトップクラスの高さ。
中でも鉄分はケールの10倍近く含んでおり、一番の特徴と言える。

・よもぎ
ずば抜けて栄養価の高い野菜。特にビタミンB2、ナイアシン、カリウム、鉄分、銅に
関してはトップクラスの含有を誇る。ナイアシンに関してはモロヘイヤよりも更に2倍以上多い。
匂いがとてもきついのと秋のアレルゲンなので、大量摂取に向かないのが欠点。

・大根の葉
栄養価の高い野菜。食べずに捨てられることも多い部分だが、実はよく食べられている、
根の部分よりもはるかに栄養価が高い。全般的にほうれん草に匹敵する栄養価を
持っているが、カロテン、カルシウム、鉄分は特に多い。

・ほうれん草
栄養価の高い野菜。青汁でよく使われるケールと同等レベルの栄養を持っているが、
しゅう酸が多いためカルシウムの吸収効率が悪く、結石の原因にもなるため、大量摂取に
向かないことが青汁に不向きな理由。カロテン、カリウム、鉄分などが特に多い。

・ブロッコリー
栄養価の高い野菜。カロテン以外の栄養価は全般的に高く、ほうれん草、ケールに匹敵する。
特にビタミンB1、B2、B6、葉酸、パントテン酸などビタミンB系の栄養価が高い。

・ケール
栄養価の高い野菜。ほうれん草、小松菜などの栄養価の高い青菜野菜同等レベルの
栄養価を持っている。特にカルシウムの含有が多く、牛乳の2倍以上含まれている。
1年中栽培ができ、3,4ヶ月で収穫ができる。青汁の主原料として用いられているのは、
全般的な栄養価の高さの他、この「季節を問わず大量栽培ができる」点にあると思われる。

・春菊
栄養価の高い野菜。カロテンが特に多く、その他の栄養素もほうれん草、ケールなどに匹敵。

・小松菜
栄養価の高い野菜。ケールと栄養特性が近いが、特に鉄分が多いのが特徴。
ほうれん草のようにしゅう酸が多くはないので青汁にも向いている。
メインの収穫時期が冬というのが特徴的な作物。

・かぼちゃ
栄養価の高い野菜。本ランキングで唯一の果菜で葉野菜以外の中では栄養価が抜群。
特にカロテン、ビタミンE、ビタミンB6、パントテン酸の含有が多い。

・大麦若葉
比較的栄養価の高い野菜。ケールと比較すると全般的に栄養価は劣るものの、
味が良いので青汁の主原料として人気がある。鉄分がとても多いのが特徴。


▼モロヘイヤ、しそ、パセリ、よもぎ、大根の葉、ほうれん草の栄養比較データ

モロヘイヤ しそ パセリ よもぎ 大根の葉 ほうれん草
エネルギー(kcal) 38 37 44 46 25 20
水分(g) 86.1 86.7 84.7 83.6 90.6 92.4
たんぱく質(g) 4.8 3.9 3.7 5.2 2.2 2.2
脂質(g) 0.5 0.1 0.7 0.3 0.1 0.4
炭水化物(g) 6.3 7.5 8.2 8.7 5.3 3.1
食物繊維(g) 5.9 7.3 6.8 7.8 4 2.8
食塩相当量(g) 0 0 0 0 0.1 0
レチノール当量(μg) 1700 1800 1200 890 650 700
レチノール(μg) 0 0 0 0 0 0
カロテン(μg) 10000 11000 7400 5300 3900 4200
ビタミンD(μg) 0 0 0 0 0 0
ビタミンE(mg) 6.6 3.9 3.4 3.2 3.8 2.1
ビタミンK(μg) 640 690 850 340 270 270
ビタミンB1(mg) 0.18 0.13 0.12 0.19 0.09 0.11
ビタミンB2(mg) 0.42 0.34 0.24 0.34 0.16 0.2
ビタミンB6(mg) 0.35 0.19 0.27 0.08 0.18 0.14
ビタミンB12(μg) 0 0 0 0 0 0
葉酸(μg) 250 110 220 190 140 210
ナイアシン(mg) 1.1 1 1.2 2.4 0.5 0.6
パントテン酸(mg) 1.83 1 0.48 0.55 0.26 0.2
ビタミンC(mg) 65 26 120 35 53 35
ナトリウム(mg) 1 1 9 10 48 16
カリウム(mg) 530 500 1000 890 400 690
カルシウム(mg) 260 230 290 180 260 49
マグネシウム(mg) 46 70 42 29 22 69
リン(mg) 110 70 61 100 52 47
鉄(mg) 1 1.7 7.5 4.3 3.1 2
亜鉛(mg) 0.6 1.3 1 0.6 0.3 0.7
銅(mg) 0.33 0.2 0.16 0.29 0.04 0.11
マンガン(mg) 1.32 2.01 1.05 0.84 0.27 0.32


▼ブロッコリー、ケール、春菊、小松菜、かぼちゃ、大麦若葉の栄養比較データ

ブロッコリー ケール 春菊 小松菜 かぼちゃ 大麦若葉
エネルギー(kcal) 33 28 22 14 91 38.8
水分(g) 89 90.2 91.8 94.1 76.2 90
たんぱく質(g) 4.3 2.1 2.3 1.5 1.9 3.26
脂質(g) 0.5 0.4 0.3 0.2 0.3 0.71
炭水化物(g) 5.2 5.6 3.9 2.4 20.6 0.73
食物繊維(g) 4.4 3.7 3.2 1.9 3.5 4.11
食塩相当量(g) 0.1 0 0.2 0 0 0.07874
レチノール当量(μg) 130 480 750 520 660 -
レチノール(μg) 0 0 0 0 0 -
カロテン(μg) 810 2900 4500 3100 4000 2538
ビタミンD(μg) 0 0 0 0 0 -
ビタミンE(mg) 2.5 2.4 1.7 0.9 5.1 1.19
ビタミンK(μg) 160 210 250 210 25 370
ビタミンB1(mg) 0.14 0.06 0.1 0.09 0.07 0.064
ビタミンB2(mg) 0.2 0.15 0.16 0.13 0.09 0.147
ビタミンB6(mg) 0.27 0.16 0.13 0.12 0.22 0.055
ビタミンB12(μg) 0 0 0 0 0 0.07
葉酸(μg) 210 120 190 110 42 40
ナイアシン(mg) 0.8 0.9 0.8 1 1.5 0.4
パントテン酸(mg) 1.12 0.31 0.23 0.32 0.62 0.192
ビタミンC(mg) 120 81 19 39 43 7
ナトリウム(mg) 20 9 73 15 1 31
カリウム(mg) 360 420 460 500 450 320
カルシウム(mg) 38 220 120 170 15 29
マグネシウム(mg) 26 44 26 12 25 16
リン(mg) 89 45 44 45 43 37
鉄(mg) 1 0.8 1.7 2.8 0.5 4.16
亜鉛(mg) 0.7 0.3 0.2 0.2 0.3 0.34
銅(mg) 0.08 0.05 0.1 0.06 0.07 0.102
マンガン(mg) 0.22 0.55 0.4 0.13 0.13 0.4

「やっぱり青汁が効く」のまとめ

野菜の栄養価をいろいろ比較した結果、野菜の中でも特に緑の濃い青菜野菜の
栄養価が高いことがわかり、野菜ジュースの中でもいわゆる青汁が良さげなことは
つかめたが、実際どういう野菜で青汁を作るのがベターなのか、栄養価以外の観点で
着目すべきポイントがいまいちわからなかったので青汁関連本を一冊読んでみる
ことにした。

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以下、私の視点からまとめた「やっぱり青汁が効く」のまとめ。

野菜摂取は生がベター。
作りおきの惣菜は空気に触れてビタミンが破壊され、ビタミンB,Cなど水溶性のものが
流れてしまう。
天ぷら、フライにした場合は、空気に触れて脂肪の酸化が進み、過酸化脂質になる。
市販の惣菜は化学調味料を多く使用するのでリンやナトリウムが多くなる。

栄養価が高く、野菜ジュースに適した野菜は、
ケール、しそ、人参の葉、パセリなど。

ケールは葉が硬い。

ケールは牛乳の2倍のカルシウムを含んでいる。
↑これ、たしかに。牛乳は100mlで100mg。ケールは100gで220mg含んでいる。

青汁誕生の経緯
野菜汁や果物汁を使った民間療法は1000年以上前の古くから存在。
著者の父である遠藤二郎氏の青汁はビタミンとカルシウムが豊富に含まれる、
生きの良い緑の葉を材料にするのが特徴。
彼が食糧難の戦時中に、畑に捨てられた大根の葉を80度のお湯に30秒浸して
葉に含まれる酸化酵素を殺し、変色やビタミンの減少を抑えたものを陰干しして
長く保存できるようにしたのが最初のきっかけ。

マッカラムの著書「栄養新説」の記述。
野菜で良いのは緑葉だけで、他の野菜も果物も緑葉にずっと劣る。
緑葉でも色の淡いものはダメ。ほうれん草はカルシウムが利用されないからあまり
よくない。

青汁の直接のきっかけは、著者が肺炎にかかったときに、父が摘んできた三つ葉を
すりつぶして汁を絞り、毎日息子である著者に飲ませたことがきっかけ。

その後、軍医として薬品もろくにない部隊に配属されたとき、山の中で取った緑の葉を
すりつぶした青汁を治療に用いて、よい効果を得る。

その後、戦後に配属された病院で青汁の病院給食を開始した際に、今までの野草では
なく、清浄栽培の野菜を使用することになった。
年間を通じて野菜を確保する必要に迫られ、品種や種まきの時期を独自に研究。
園芸書でケールの存在を知り、
成分の素晴らしいこと、
周年栽培(季節にかかわりなく栽培可能)ができること、
収穫量が多いこと 、
味が良いこと
を理由にケールの種をアメリカから取り寄せた。

その後「遠藤青汁の会」を設立して普及に尽力する。

食事で不足しがちな栄養素はビタミンとミネラル。
青汁は原液で1日に2合(360ml)飲むのが好ましい。

青汁の材料と作り方について
1,有毒な成分がある植物は避けること
2,薬草類や救荒植物(飢饉のときの非常食)にも注意
薬草にはそのまま飲むと有害なものがある。救荒植物は毒性があったり、
苦味や臭み、刺激物があったりする。また、このような植物を材料にすると
処理に手間がかかりすぎてしまう。
3,清浄であること
きれいに洗った無農薬のものであることが重要。
4,栄養素に富んでいること
5,味と鮮度がよいこと
6,一年を通して大量に入手できること
青汁は毎日かなりの量を飲むので僅かな量しか入手できないものは材料に不向き。

青汁に適している材料
ケール:栄養価が高く、周年栽培ができて収穫量も多い
しそ
パセリ
人参の葉
大根の葉:辛味が強い
キャベツの青い部分
カリフラワー、ブロッコリーの外葉
小松菜
水菜
かぶら菜
レタス、ちしゃ、春菊、三つ葉は上記より成分が劣るがまあまあおすすめ
ほうれん草はカルシウムと鉄分が少なく、しゅう酸が多いので吸収効率が悪い
ほうれん草の大量摂取は腎臓結石や膀胱結石につながるので青汁に不向き。
よもぎは匂いがきついのと刺激性の揮発成分が血圧を高めてしまう
柿の葉も向いている

ビタミンCや葉酸は空気に触れると壊れやすい

青汁に適していて、かつ1年中収穫できる野菜
ケール、かきば大根、はつか大根、あぶらな、ときなし小松菜、ときなしかぶ、
ときなしにんじん、ちしゃ、エンダイブ、しゅんぎく、パセリ、ねぎ
春蒔きの野菜:しそ、バイアム
秋蒔きの野菜:わけぎ、水菜、かつお菜、広島菜
多年草:にら、さんしょう、くこ、うこぎ

ケールの成長は3~4ヶ月

ビタミン剤の化学的に合成された、合成ビタミンよりも天然ビタミンのほうが
吸収されやすい。他の不純物が吸収を助けている。

ビタミンなど既知の栄養素の他に、未知の栄養素があり、生の新鮮な状態での
野菜の摂取をすることでこれらの栄養素を多く摂取できる

小松菜青汁について
小松菜は他の野菜が少なくなる寒い季節が旬。2月、3月に安い値段で入手できる。
アクやしゅう酸が含まれていないので青汁に向いている。

市販の青汁を買うときの注意点
1,濃い青汁を選ぶ
2,独特のまずさがあること。飲みやすくすると水で割ったり甘みを加えて有効成分が減る
3,時間がたつと悪臭を放つこと。添加物が入っているものはダメ。

市販の青汁相場
ファンケル青汁ストレート:100mlx7 700円
キューサイ青汁:90mlx7 1100円
ピロサン緑:180ml相当x25 5000円
固形ピロサン:180ml相当x17 2700円


▼読んでみての感想
青汁を飲んで○○が治ったとか、青汁最高とかその辺の記載には興味ない。
だってアガリクス売っているところやローヤルゼリー売っているところも同じ事書くでしょ。

ただ、野菜の栄養価を調べていて、厚生省の出している、第三者のデータで
青菜野菜の栄養価が高いことが示されているので、栄養摂取に関して野菜ジュースの
中でも青汁がベターなのは間違いなさそう。

興味を引いたのは青汁誕生の経緯に関して。この本の著者の父が広めたという
「遠藤青汁」はケールを使用した青汁のようだが、最初からケールを使っていた
わけではなく、試行錯誤の結果ケールにたどり着いたという部分が興味深い。
ここに「栄養価」という観点以外の野菜ジュースの原料選びの基準が見えるからだ。

青汁に適した野菜を選ぶ条件として、栄養価が高いことはもちろんのこと、
有毒な成分がないこと、処理に手間がかからないこと、1年を通じて大量に入手
できることが挙げられている。
特に大量に入手できるかどうかという部分は野菜の入手コストに関わる部分だ。
いくら栄養価が高くても、値段もそれ以上にバカ高いようだとコスパが悪くなって
しまう。このコスト対栄養価の部分は青汁の原料の野菜選び、そして市販のものを
購入する際の重要な指標となりそう。


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主な果菜のトマト、かぼちゃ、きゅうり、なすの栄養比較

青菜野菜、根菜と栄養価を比較してきたので、果菜に関しても栄養比較をして
みようと思う。特にトマトは「トマトジュース」という野菜の個別名称を使ったジュース
があるくらい、野菜ジュースに使用するにはポピュラーな食材なので、どのくらいの
栄養価なのか気になるところ。

他の記事同様、この比較でもケールを基準に比較をし、元データは長いので最後に
掲載し、まとめから書くことにする。


▼トマトのほうがケールよりも多い栄養素
なし

食物繊維、ビタミン、ミネラル、すべての項目でトマトはケールを下回っている。
カロテンもそれなりにあったり、決して栄養価が低いわけではないのだが、
青菜野菜と比べると全般的に栄養価が低いという結果。


▼ケールのほうがかぼちゃよりも多い栄養素
ビタミンK
葉酸
ビタミンC
カルシウム
マンガン

▼かぼちゃのほうがケールよりも多い栄養素
炭水化物
レチノール当量、カロテン
ビタミンE
ナイアシン

かぼちゃに関しては芋っぽいホクホク感があるというか、炭水化物が多そうだなと
予想はしていたが、野菜にしてはかなり多めの数値になっている。
他、カロテンとビタミンEがとりわけ多いのも特徴。全般的に青菜野菜に匹敵する
レベルの栄養価の高さを誇っている。ミネラルもカルシウムこそケールよりも
少ないものの、カリウム、鉄分などもケールに近いレベルで含んでいる。


▼きゅうりのほうがケールよりも多い栄養素


銅以外のほとんどの栄養素に関してはケールのほうがきゅうりよりも多い。


▼なすのほうがケールよりも多い栄養素
特になし

ほとんどの栄養素に関してケールのほうがなすよりも多い。


▼まとめ
かぼちゃを除く他の果菜に関してはケールよりも多い栄養素がほとんどないという結果に。
基本的には青菜野菜のほうが果菜よりも栄養価が高いと言える。
ただし、かぼちゃに関しては青菜野菜なみの高い栄養価を持っており、特にカロテン、
ビタミンEは豊富。 他の栄養素に関しても青菜野菜レベルで含有しているものが多い。
果菜の中での比較では、トマトはカロテン、ビタミンEが豊富で、きゅうりはカルシウム、銅が豊富。
なすは特別高いものはなしという感じ。全般的には似たり寄ったり。


▼ケール、トマト、かぼちゃ、きゅうり、なすの栄養比較データ

ケール トマト かぼちゃ きゅうり なす
エネルギー(kcal) 28 19 91 14 22
水分(g) 90.2 94 76.2 95.4 93.2
たんぱく質(g) 2.1 0.7 1.9 1 1.1
脂質(g) 0.4 0.1 0.3 0.1 0.1
炭水化物(g) 5.6 4.7 20.6 3 5.1
食物繊維(g) 3.7 1 3.5 1.1 2.2
食塩相当量(g) 0 0 0 0 0
レチノール当量(μg) 480 90 660 55 17
レチノール(μg) 0 0 0 0 0
カロテン(μg) 2900 540 4000 330 100
ビタミンD(μg) 0 0 0 0 0
ビタミンE(mg) 2.4 0.9 5.1 0.3 0.3
ビタミンK(μg) 210 4 25 34 10
ビタミンB1(mg) 0.06 0.05 0.07 0.03 0.05
ビタミンB2(mg) 0.15 0.02 0.09 0.03 0.05
ビタミンB6(mg) 0.16 0.08 0.22 0.05 0.05
ビタミンB12(μg) 0 0 0 0 0
葉酸(μg) 120 22 42 25 32
ナイアシン(mg) 0.9 0.7 1.5 0.2 0.5
パントテン酸(mg) 0.31 0.17 0.62 0.33 0.33
ビタミンC(mg) 81 15 43 14 4
ナトリウム(mg) 9 3 1 1 0
カリウム(mg) 420 210 450 200 220
カルシウム(mg) 220 7 15 26 18
マグネシウム(mg) 44 9 25 15 17
リン(mg) 45 26 43 36 30
鉄(mg) 0.8 0.2 0.5 0.3 0.3
亜鉛(mg) 0.3 0.1 0.3 0.2 0.2
銅(mg) 0.05 0.04 0.07 0.11 0.06
マンガン(mg) 0.55 0.08 0.13 0.07 0.16

モロヘイヤの毒について

モロヘイヤの毒に関しての情報は、内閣府の食品安全委員会の出している
資料が信頼出来るものと思われる。
http://www.fsc.go.jp/monitor/1607moni-saisyuhoukoku.pdf#page=16

上記によると、


「モロヘイヤに含まれる強心配糖体については、成熟した種子で最も多く含まれ
るほか、成熟中の種子、成熟種子の莢(さや)、発芽からしばらくまでの若葉など
にも含まれますが、収穫期の葉、茎、根の各部位並びに蕾(つぼみ)発生期の葉、
茎、根、蕾の各部位には含まれず、野菜としての“モロヘイヤ”、モロヘイヤ健康
食品、モロヘイヤ茶などからも検出されないことが報告されています。」

ということなので、市販の野菜としてのモロヘイヤに関しては、葉っぱの部分
だけでなく、茎が混ざっていても、つぼみっぽいものがあっても問題なく全部
食べられるようだ。

他、日本薬剤師会からも「牛が実のついたモロヘイヤの茎を食べて死んだ」事例に
関する詳細が紹介されている。
http://www.nichiyaku.or.jp/contents/info_97/n970616.html

これによると、スーパーのモロヘイヤ(葉、茎、蕾も含めすべて)、健康食品のモロヘイヤ
乾燥粉末、及び完熟した家庭菜園のモロヘイヤの葉からはストロファシジンは検出
されず、家庭菜園の完熟したモロヘイヤの種と茎からは多量のストロファシジンが検出
されたとのこと。

結論としては、健康食品やスーパーで野菜として売っているモロヘイヤはどこを
食べても問題がない。一方、家庭菜園でモロヘイヤを育てる際には種と茎には注意
というところ。